慣れない山坂走行とGS探しで神経を使い、何としてもこの辺りで休憩をとらなきゃ。このまま南へ走って休憩場所を見つけられなかったらとの不安があって、確実に休めるマキノプリンスまで逆戻り。
湖岸の駐車場にバイクを停めて、ひとしきり写真を撮り、喫茶室でほっと一息。甘いものを補給しコーヒーを飲んでいると、50歳ぐらいの男性がやってきて突然思い詰めたような表情で私に向かって「外にDUCATIが停めてありますよね」。咄嗟に、バイクの置き方が悪くて転んじゃったかと心配になり「倒れましたか!」と尋ねると、「いえ、実は私もDUCATIを買いたいのです」とのこと。その方もこれから免許を取って乗りたいらしく、現実的な質問いろいろ。未来の初心者の方に、超初心者の私の経験は少しは役立ったかな。マキノまで戻ってきた甲斐があったみたい!
「とうとうやった!琵琶湖一周ツーリング」
10月17日。気持ちの良い秋晴れの日曜日。
MONSTER400納車以来、毎週のように一人でツーリングに出かけて、少しずつバイクにも慣れてきた私。まだまだ「少し」ですけれどね。
時期尚早かとも思いつつ、「少し背伸びするくらい」のツーリングをしたい、というわけで大胆にも一人で琵琶湖一周240キロの旅に出ることに。
まだ車も少ない日曜日の午前7時。プロテクター付きの皮ジャンパーに皮ズボン、皮製で暖か裏地の付いた保温首まき、皮グローブにツーリングブーツという重装備。ガレージから押してMONSTERを出し、エンジンキーをオンにして、スタート、ん?かからない。もう1度試みてやっぱりダメ。10月半ばでもうチョークが必要?とチョークを引いてスタートキーを押すと、今度はドゥルルン!ご近所に遠慮しながらも暫し暖気。回転はすぐに安定、チョークを戻していざ出発!
気温がやや低いせいか、信号待ちをしているとヘルメットのバイザーがあっという間に曇り、景色がぼんやり。走り出せばすぐに曇りが取れるので、そのまま手の施しようも無く信号の色に目を凝らしながらただ我慢。
走り出すと相変わらず緊張して一瞬たりとも気を許すことはできないけれど、初回ツーリングより2度目、2度目より3度目、とバイクの操作は明らかに上達している模様。雑誌のハウツー記事と試行錯誤と「昔バイクに乗りまくっていた」友人たちへの質問攻撃とで多少の知恵もつき、以前私にありがちだったとんでもない危険行為は、しなくなりました。
スムーズな発進とスムーズなブレーキング、半クラッチの上手な活用、視線の置き方、目下これらを練習中。
対向のバスが狭いカーブを慎重に曲がりきるのを見届けて私が発進していくと、大きなバスの後ろにスポーツ系のバイクがいました。そして何とそのライダーが私に向かってめちゃめちゃかっこよくVサインを作った左手を軽く上げて挨拶をしてくれたのです!「いたーっ、ホントに!Vサインで挨拶するひとーっ」ヘルメットの中で思わず叫ぶ私。挨拶を返すため慌てて手を上げたらミラーに当っちゃって不発。でも気持ちは伝わったかなぁ…。
互いに一人でツーリングを楽しむ身。その挨拶の何と温かく清清しかったことか。同じ趣味を共有する人に親しみと敬意を表し、あなたも気をつけて楽しいツーリングをね、とかそんな気持ちをこめて対向ライダーに挨拶するのは、とってもすてきなことだと思いました。
近江グリーンロードでは、料金所のおじさんとすっかり顔馴染み。初めて通った時には「イタリアのバイクかっこいいね!ハーレーやBMWはよく見るけど、これは初めて。」などと褒めてくださり、今度は「今日はどこへ行くの?もうだいぶ慣れた?気をつけてね!」なんて嬉しそうに声をかけて下さいます。料金所で手間取る緊張から解放され、感謝。
バイクを路肩に停めてきれいなコスモス畑を撮影したり、彦根IC付近の縦に亀裂の入った路面にヒヤリとしたりと、ツーリングを充分愉しみながら彦根着。少し慣れて所要時間は前回より短縮。
温かいスープを飲んで身体を暖め、再び出発。前回はここで引き返したけれど、今度はまだ帰路でなく、先は長い、気合が入ります。少し車の込み合う長浜市街を抜けると、しばらくは信号も無い爽快なさざなみ街道。対向にツーリング中のバイクもちらほら。木之本付近では奥琵琶湖パークウェイを探して道を間違え、同じ所をぐるぐるしてしまいましたが、今回はちょっとした便利グッズ、ガソリンタンクの上に強力な磁石で固定するツーリング用バッグ(最上部が透明なビニールになっていて、地図を入れておくと見ることができる)を携帯。あまりかっこよくはないし、前傾の妨げにも多少なるけれど、結構助かりました。
標識に従いようやく奥琵琶湖パークウェイに入っていくと・・・。
おっかなーい!こんなタイトな山坂ワインディングだったっけ!?車で走った時、楽しかったのに…今の私のバイクテクではムリ!!でも引き返すことはできないし、ゆっくりでも頑張って抜けるしかない。すると前方からステップを地面につけながら勢いよくコーナーを曲がってくるライダーたちが!!そしてしばらくすると同じ人らしきが今度は後方から!つまりここを何度も往復して練習しているのだ!左折信号を出し極力左に寄って道を譲るけれど、山側に寄せるのも谷側に寄せるのも、どっちも怖い。身を硬くしながらできる限り寄って、皆さんどうぞお先に!頂上付近までたどり着くと、レストランの駐車場には、団体でツーリングしているバイク、バイク、バイク。いっぱい!みんなここで方向転換してこの山坂を練習してるのか?!と一人合点して先へ行くと、すぐそこには何と行き止まりの看板が!!土砂崩れのため通行止め。ショック!辺りを見ると枝の破片がいっぱい。こんなの踏んだら危ない。少し広くはなっているものの勾配のある道。平地でさえできないUターンをこんなところでやってみたくはない。ちょうど停止してしまった場所が上り坂だったにもかかわらず、私はエンジンを切ってバイクを降り、よいしょ、よいしょと汗かきかき方向転換。おっと、せっかく降りたんだから通行止めの看板の写真ぐらい撮っていこう。てなわけで、もっと上手になるまで2度と走りたくなかった恐怖の山坂ワインディングを、1日に2度も走ることに。上手なライダーたちのお邪魔にならぬよう、初心者で場違いな私は縮み上がりながら、シフトはほとんどずっと2速のまま、制限速度でふもとまで戻ったのでした。やれやれ…。
とその時、ガソリンマークのランプが点灯。パネルには「FUEL」の表示。燃料が残り少ないらしい。予想外の山坂で随分食っちゃったもんね。でもあと20キロぐらいは走れるだろう。私の記憶では少し走ったら人里があって、そこにはきっとガソリンスタンドの1件ぐらいあるだろうと、さほど心配もせず奥琵琶湖の景色を楽しみながら、心もち燃費節約走行。しかし走り始めてみると「人里」はかなり遠く、また「人里」だと記憶していた場所は展望台と売店2,3件。ガソリンスタンドなど皆無。ヤバイかも…。今度は高めのシフトでアクセルをほとんど開けないようにして更なる燃費走行。
やっと市街地らしき所まで来れたので、161号線に出れば必ずあるはず、と期待。あった、あった!助かったぁと前まで行くと、お休み。残念。でもまあ次があるさと前進。ところが、国道沿いのGSは軒並み休業!うっそーっ!
警告ランプ点灯後、既に20キロは軽く走ったように思われました。ガス欠になっちゃったらその時はそのときだ、でも神様、開いてるGSが見つかるまで何とかもたせて下さい。一応の覚悟をしながら、田んぼの多い国道沿いを諦め、営業中のGSを探し求めて知らない所をぐるぐる。そしてようやく見つけました!!やってるぅ、助かったぁ!給油無事完了。13リッター程度。みんなお休みでどうしようかと思いました、と言うと、この辺りのGSは営業が当番制とのこと。ヨソモノには結構辛かったです。
DUCATIファンに別れを告げて、今度こそ帰路に。もちろん朽木経由のパワーは残っていなかったので、湖西道路でまっしぐらコース。疲れているせいか、湖西道路での高速走行は結構怖かった。こういう時こそ肩の力を抜かなきゃ、と自分に言い聞かせるけど、どうしても力が入っちゃう。80キロ前後の速度を保ちながらできる限り左に寄せて、120キロぐらいの速度で走る車に横を抜いていってもらうのは、ホント怖いです。
そしてこの日も無事ガレージ到着。走行距離は予定を少し上回り270キロ。
走ったという充実感でいっぱい。でも奥琵琶湖パークウェイはもっと上達してから行こう。安全第一の楽しいツーリング、これから少しずつ行ける場所を拡大していきたいと思います。
この日のコースは、前回の彦根行きと同じ、草津の唐橋を渡って信楽・甲賀を抜け、多賀大社の前を通って彦根プリンスで朝食、その後さざなみ街道を走って長浜・木之本を抜け、せっかくですから奥琵琶湖パークウェイを走って、湖周道路に戻りマキノプリンスで昼食、風車街道から161号線に出て、余裕があれば欲張って朽木経由、なければ湖西道路を一気に走って帰るというかなり盛りだくさんなコース。
彦根までの道程は2度目とあって順調。寒さのため手は痺れたけれど、山の中を走るのはすごく気持ちがいい!このルートは知る人ぞ知る抜け道なので、猛スピードで走る車がほとんど。前回は、後ろから迫って来られると、迷惑にならぬようどんどん先に行ってもらっていたのですが、今回は後ろにゆっくりトラックがいて通せんぼしてくれていたため、私は後続車に気兼ねすることなく走ることができました。
信楽に抜けるこの山道は、狭くなっている所では前方からバスが来るとバイクでさえ止まって待たなければならないほど。たまたまこの日そんな場所で、私は「まぼろしのライダー」に出遭ったのです。
私にとって「まぼろしのライダー」とは、対向のライダーに左手でVサインをして挨拶してくれる人。若かりし頃(今も若いからいわばガキの頃)バイクでよくツーリングをしていたというメカニックの川西さんの話では、ライダーどうしのかっこいい挨拶はVサインなのだとか。ところが、私が出会ったライダーは、互いに挨拶を交わす人自体まれで、したとしても左手を上げるか会釈をする程度、ましてVサインだなんて…。きっと時代遅れか私をからかっているのだと疑っていたわけです。