E-CUP300報告
 2004年11月最後の週末。9月の美祢サーキットでのVWRC最終戦で、急遽、E-CUP300への参戦を決めてからわずか2ヶ月。車は、川西屋さんがご自身で所有するレーシングチューン済みのGOLFV(黄色と黒の配色がまさに道路公団色?!)を提供して下さることになり、俄かに調整。一緒に走ってくださるのは、GOLFじゃベテラン、自称F1パイロットの橋本真さんと、ちょっと前までフォーミュラドリームに参戦しE-CUP300にも参戦経験のある私の学校の後輩、塩川了士さん。練習の時間も余り取れず、車とドライバーの息がぴったり、とはまだまだ言えない状態だったけれど、とにかく発進。
 11月27日。レース前日。暖冬のはずなのに、なぜかこの日は、寒い!快晴で却って冷え込んだみたい。早朝にフェリーで到着し、早速準備。
 何と隣のピットは偶然にも、2003年のE-CUP300でお世話になった下垣さんと、恩師成田剛志さんのチーム。その上メカニックは、鈴鹿のFK4スクールでお世話になっていた橋爪さん。マシンはランエボ。皆、再会を喜んでご挨拶。

 今回準備期間が短かったため私以外お二人は、このGOLFVで美祢を走るのは初めて。シフトや足回りを確認しながら、走行枠を最大限に利用して走りこまなければなりません。
 まず橋本さんが1枠走り、足回りを調整。次に塩川さんが走ってある程度のタイムを出してみる。3番目に私が走って練習。次に皆で走って、ドライバー交替の練習。
 直ったばかりの車なので、どんな感じかしら…。予選を走るのは塩川さん。レースウィークに入ったときから、テンションを上げて備えてくれていた彼は、いつもの穏やかな彼とは少し違って、集中していて近寄りがたい。
 結局、ミッションの中で2速が割れていました。私はミッションの中など見たことが無かったのでとても勉強になりました。
 ちょうど3番目の私の時でした。3周ほどタイヤを温めがてら慣熟走行をして、これからちょっと頑張って走ってみようと思った矢先、シケインを立ち上がって最終コーナーへのアプローチのため2速に落とそうとした途端、異音が…。そのままシフトが入らなくなり、幸運にもたまたま右手にあったピットロードにそのまま惰性で進入。一旦止まったけれど、そっとギアをロウに入れてみると入ったので、1速のままおそるおそるピットへ。
 川西さんと饗庭さんとが即座にボンネットを開いて覗く間、心配な私たち。直るのかなあ。
 そしてとうとう、ミッションを下ろして、何とピットで「ばらす」という決断が下されたのです。お隣の橋爪さんまで、いろいろ心配して協力して下さいました。ありがとうございました。
 壊れてしまった以上、部品を探して交換するか、もしくは2速抜きで走るかしか手立てはありません。
 結局手近に部品が無く、2速抜きで走ってみようと決断して、ミッションを組みなおし、さあ作業完成間近。この時既に夜の8時。辺りは真っ暗、ピットには私たち以外誰も残っていません。冷え込みは一層厳しくなり、申し訳ないけれどドライバー3人はレース当日の体調のことも考え、橋本さんの乗ってきたカイエンターボの暖かいシートに包まれて、今回のチアボーイ橋本修くんのDVDをまるで劇場さながらのすばらしい音響で見ながら、お二人の作業を見守っていました。
 ところが!ミッションを元に戻してエンジンをかけ、最終の点検をしてみると、まだ異音が・・・。
現状での万策は尽きた、とばかり、決心したように川西さんが「広島に行ってくる。」
饗庭さんと2人、早々に広島に出発。知り合いのショップにあるというミッションを調達に、です。
 ドライバー3人は、冷え切った挙句に徹夜覚悟のお二人を、最敬礼して見送った後、宿に向かいました。カイエンの中で随分暖まったとは言え、1日中屋外にいたため身体はヒエヒエ。明日のためにと言い訳しながら、私は皆を巻き込み例によって、時節柄ひれ酒を飲み、暖かい鍋を食べ、ゆっくりお風呂に入って休みました。
 レース当日。ホテルのフロントに疲れた顔の川西さんの姿。饗庭さんはまだ眠たそう。でも直ったのですね!お疲れ様でした。ホテルに着いたのは朝5時だったそうです。今度は私たちが頑張らなくちゃ!!

 慌ただしく車検を無事終え、予選。
 いよいよスタート。3周慣熟走行のつもりで走って一旦ピットに戻って来るように、という川西さんの指示に従い、スタート後ほどなくピットイン。タイヤチェック等して、いよいよアタック。でも車を労わるため、めいっぱい頑張らず9割の走りにして、予選タイムはそこそこにしようとの川西さんの作戦。でも、綿密な作戦会議をしていなかったので、皆の意思の疎通が不十分だったか?塩川さんが勢いよくピットレーンを走り去り、1周してアタックに入った瞬間、マシンに異常事態発生!そのままピットへ帰還、ピットイン。すぐさまボンネットが開けられ、ミッションが再び壊れたことが判明。リタイヤ。
 こんなこともあるものですね、レースは。でも圧倒的に準備不足。今後事前の作戦会議は絶対必要との教訓。
 皆、無念な気持ちでスーツを脱ぎ、本戦のスタートだけ見届けて引き上げました。
お疲れ様・・・。
 それにしても、成田さんのスタートダッシュは見事でした。さすがプロドライバー!車の性能と限界をわきまえて最大限に生かした素晴らしいローリングスタート、とても勉強になりました。

 実はこの後、川西・饗庭・中村の3人は近くの温泉でゆっくり暖まり、フェリー乗り場近くのコンビニに立ち寄りました。夫からある使命を受けていたのです。ここには哀れなやせっぽちの野犬(雌)がいて、1ヶ月前に訪れて以来気になっていました。もしまだいたら、連れて帰ってうちで飼おう、ということで、夫から捕獲してくるよう頼まれていたのです。レースに出れなかったのだからせめて、との思いで、おとりの餌をコンビニで調達し、何とかケージにおびき入れようと試みていました。しかしとても用心深く、なかなか入ってくれません。するとそこへ屈強な強面の雄犬が現れ、一同びっくり。つがいで尚且つ子犬もいる様子でした。家族を引き離すわけにはいかず、さりとて一家全員を引き取るわけにもいかず、残念ながら断念。
 でもこんなこともあって、レースに出れなくても何だか楽しい遠征でした。
 もちろんいつか表彰台の高みに上ってみたいけれど、勝つことよりも、様々なチャレンジを愉しむレース、そんなあり方もいいな、と思うのです。皆様はいかがですか?